壁や地下鉄からスタートし、ギャラリーやハイファッションの世界へ飛び出した伝説のグラフィティアーティスト、フューチュラ。
この記事では、フューチュラがどのようにしてグラフィティから抽象アートの先駆者となり、音楽やファッション、さらにはデジタルアートへと進化を遂げてきたのか紹介します。
フューチュラのプロフィール
アーティスト名 | Futura2000(フューチュラ2000) ※「Futura」と表記されることも多い |
本名 | レオナルド・ヒルトン・マクグレイ |
出身地 | ニューヨーク |
活動地域 | アメリカ、フランス、日本など世界で活躍 |
生年月日 | 1955年11月17日生まれ |
SNSアカウント | https://www.instagram.com/futuradosmil/ |
webサイト | https://futuralaboratories.com/?ref=eql-launch-header_logo_listing&utm_content=header_logo_listing&utm_medium=launch&utm_source=eql |
Futura2000の生い立ち
1955年11月17日、ニューヨークで生まれたフューチュラ(本名:レオナルド・ヒルトン・マクグレイ)。彼がグラフィティを始めたのは15歳のときでした。当時は友人たちと壁や地下鉄に落書き感覚で描き始めたのがきっかけでした。1974年には軍隊に入隊し、海外での経験を積んだことで視野が広がり、アートに新たなインスピレーションを得ることに。ニューヨークへ戻った後、進化を遂げたグラフィティシーンに感銘を受け、再びスプレー缶を手にした彼は、抽象的なスタイルを確立し始めます。
Futura2000名前の由来|2000の意味は?
元々はFuturaとして活動していました。その後「2001年宇宙の旅」という映画に触発され、Futura2000というライターネームになります。改名直後は、Futura2001だったそうですが、映画のまますぎるため2001を2000に変更しました。
フューチュラ(Futura)が有名になったきっかけ5選
フューチュラ(Futura)氏が有名になったきっかけは、以下のようなものがあります。
- 抽象的なスタイルの確立
- The Clashとのコラボレーション
- ギャラリーシーンへの進出
- Mo’ Waxとのコラボレーション
- ファッションブランドとのコラボレーション
1. 抽象的なスタイルの確立
1970年代、ニューヨークの地下鉄や壁に描いていたフューチュラは、多くのグラフィティアーティストが文字(レタリング)に特化していた中で、幾何学模様や抽象的なデザインを取り入れた独自のスタイルを確立しました。この「抽象的グラフィティ」の先駆者として、ストリートアートの新しい潮流を生み出しました。特に、1980年に制作した電車一車両全体を使った作品「ブレイク」は抽象的なグラフィティの代表作です。
2. The Clashとのコラボレーション
1981年、イギリスの伝説的なパンクバンドThe Clashのツアーに同行し、ステージセットやアルバム『Combat Rock』のアートワークを手掛けたことが大きな注目を集めました。また、彼自身がThe Clashのプロモーションビデオ「This Is Radio Clash」に出演したことで、その名をストリートアートの枠を超えた広い層に知られるようになりました。
3. ギャラリーシーンへの進出
1980年代初頭には、ニューヨークのFashion ModaやFUN Gallery、MoMA PS1などのギャラリーで展覧会を開催。ストリートからアートギャラリーに進出したことで、グラフィティがアートとして認識されるきっかけを作りました。彼の活動は、Keith HaringやJean-Michel Basquiatなど、同時期に活躍したストリートアーティストたちとも共鳴しました。
4. Mo’ Waxとのコラボレーション
1990年代には、イギリスのレーベルMo’ Waxのアートディレクションに関わり、Unkleプロジェクトのアートワークを手掛けたことで新たな層に認知されました。この時期にJames Lavelleと出会い、音楽とアートの融合を象徴する存在となりました。
5. ファッションブランドとのコラボレーション
Nike、Supreme、Louis Vuittonなど、世界的なブランドとのコラボレーションは、フューチュラの知名度をさらに高める要因となりました。特に1990年代以降、日本の裏原宿シーンやFutura Laboratoriesの活動を通じて、ストリートファッションとアートを融合させた新たな価値を生み出しました。
フューチュラのスタイル|グラフィティの進化を象徴するアブストラクトアート
多くのグラフィティアーティストが文字を中心に作品を書く中、フューチュラは細かいスプレーストロークや幾何学的なモチーフを取り入れた「抽象的グラフィティ」を確立しました。誰とも被らないスタイルでグラフィティの枠を超えた新しい表現として注目を集め、今もなお進化を続けています。自身のスタイルは崩さず、時代の流れに合った作品を生み出すことができるため、デザインの分野でも長きにわたり活躍中です。
コラボレーションと影響力
フューチュラは、The Clashのツアー同行やアートワーク提供、Mo’ Waxのアートデザインなど音楽業界でも注目されました。また、NikeやSupreme、Louis Vuittonなどのブランドとのコラボレーションを通じて、ストリートファッションにおける影響力も絶大です。特に日本ではNIGOや裏原宿シーンとの深いつながりがあり、Futura Laboratoriesの設立を通じて、日本のストリートカルチャーにも多大な貢献をしています。
フューチュラがコラボしたファッションブランド
- Nike(エアマックス、SBダンクなど)
- Supreme(アパレルやアクセサリー)
- Louis Vuitton(ライブインスタレーション)
- A Bathing Ape (BAPE)(裏原宿ムーブメントの一環として)
- Levi’s(デニム製品)
- The North Face(アウターウェアやギア)
- Undercover(高橋盾とのコラボレーション)
- Stüssy(ストリートウェア)
- Uniqlo(UTラインのTシャツ)
- マーク ジェイコブス
- Off-White
フューチュラがコラボしたスニーカー・ストリートウェア
- Converse
- Puma
- Medicom Toy(ベアブリック)
フューチュラがコラボした音楽・アート関連
- The Clash(アルバム『Combat Rock』のアートワークやツアー)
- Mo’ Wax(James LavelleとのUnkleプロジェクト)
- Massive Attack(アートワーク)
フューチュラとコラボしたその他のブランド
- G-SHOCK(カスタムウォッチ)
- Hennessy(限定ボトルデザイン)
- Recon(自身のブランドとしても活動)
- Futura Laboratories(自身のアパレルブランド)
近年の活動|デジタルアートと新たな挑戦
フューチュラは近年、デジタルアートの世界にも進出し、新たな挑戦を続けています。Co:Labsとのコラボイベントでは、3DアニメーションやLEDを使った作品を披露し、アートをスマートフォンやパソコンといったデバイス上でも楽しめるようにしました。このようなデジタル技術を取り入れることで、彼はアートの新しい可能性を切り開いています。
フューチュラの魅力が刺さる理由
彼のアートが多くの人に支持される理由は、「自分らしさ」を貫く姿勢と常に新しい挑戦を恐れない革新性にあります。また、商業的価値よりも若い世代にインスピレーションを与えることを優先する哲学は、多くのアートやストリートカルチャーファンの心に響いています。
フューチュラを知るためのおすすめコンテンツ
フューチュラの世界観をより深く知るために、彼の代表作であるアトミックアイコンやThe Clashのアートワークをチェックしてみてください。また、彼のインタビューやドキュメンタリーもおすすめです。さらに、Futura Laboratoriesのアイテムや過去の展覧会に触れることで、彼の作品が持つ多面的な魅力を体感できるでしょう。
インタビュー記事
雑誌EYESCREAMのインタビュー↓
FUTURA LABORATORIESが、クリエイティブプラットフォーム「Co:Labs」とコラボレーションイベントを開催した時のインタビュー記事↓
「作品に対する価値は市場が決めるもの」フューチュラがデジタルアートに込めた想い
YouTube動画
フューチュラ関連映画
- JUST FOR KICKS/ジャスト・フォー・キックス
- 2001年宇宙の旅
JUST FOR KICKS
映画「JUST FOR KICKS」では、フューチュラ(Futura 2000)が特集されています。彼はストリートカルチャーやスニーカー文化の中でも特に重要な人物であり、映画内では彼の視点を通してスニーカーとアート、ストリートカルチャーの結びつきが語られています。
「JUST FOR KICKS」概要
作品名 | JUST FOR KICKS |
上映時間 | 82分 |
制作国 | アメリカ |
制作年 | 2005年製作 |
監督 | ティボ・ドゥ・ロンジェビル リサ・レオーネ |
音声 | 日本語なし |
字幕 | 日本語あり |
ジャンル | ドキュメンタリー |
配信サービスでの視聴 | 不可 |
「JUST FOR KICKS」は、スニーカー文化に焦点を当てた初の長編ドキュメンタリー映画です。この作品は、スニーカーがストリートカルチャー、ヒップホップ、バスケットボール、そしてファッションに与えた影響を探ります。映画では、スニーカーの歴史、特にエアジョーダンやアディダス・スーパースターといったアイコニックなモデルがどのようにしてカルチャーの象徴となったのかが語られます。
映画には、ヒップホップアーティストやスニーカーヘッズ(熱狂的なスニーカーファン)として知られる重要人物が登場し、それぞれの視点からスニーカーが持つ魅力を語ります。登場人物には、RUN-D.M.C.のメンバーやファット・ジョー、Futura、Nelly、DJ Clark Kentなどが含まれ、彼らの個人的なエピソードを通じて、スニーカーがファッションの枠を超えてライフスタイルそのものとなった過程を追います。
2001年宇宙の旅
Futura2000の名前の由来となった映画です。
※Futura氏は出演していません。
「2001年宇宙の旅」概要
作品名 | 2001年宇宙の旅 |
上映時間 | 142分 |
製作国 | ・イギリス ・アメリカ |
公開 | 1968年4月11日 (日本) |
監督 | スタンリー・キューブリック |
ジャンル | SF |
配信サービスでの視聴 | Amazon prime など |
「2001年宇宙の旅」は、宇宙の神秘と人類の進化を壮大なスケールで描いたSF映画の金字塔です。物語は、太古の地球でモノリス(謎の黒い石柱)が原始人類の知能進化を促すところから始まり、時空を超えた壮大な旅へと発展していきます。
現代に舞台を移すと、月で発見された別のモノリスが強力な信号を木星に送っていることが判明。木星への調査ミッション「ディスカバリー号」では、人工知能HAL 9000と船員たちが登場します。しかし、完璧とされていたHALが故障し、船員とAIの対立が激化します。最終的に、船員のデヴィッド・ボーマンが木星に到達し、モノリスとの遭遇を経て、宇宙的な進化の新たなステージ「スター・チャイルド」として生まれ変わるという壮大な結末を迎えます。
最後に
フューチュラはストリートアートの枠を超え、音楽、ファッション、アートの各分野で広く知られる存在となりました。彼の「アートとカルチャーを結びつける能力」が、今日の人気を支える大きな鍵と言えます。
当サイトでは、グラフィティアーティストやストリートアーティスト、ミューラルアーティストなどを紹介しています。是非他の記事も読んでみてください。
コメントやSNSでのシェアも大歓迎です。
コメント