1990年代後半、サンフランシスコのグラフィティシーンにおいて、ひときわ目立つ存在だったTIE ONE
彼はわずか18歳でその名を轟かせ、ALL CITY(オールシティ)を達成した”キング”として知られている。
この記事では、TIE(タイ)がどのようなライターだったのか、彼の人生とその悲しい結末についてご紹介します。
TIEについて、触れられているグラフィティのドキュメンタリー映画
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TIE ONEプロフィール
アーティスト名 | TIE ONE |
本名 | ジョナサン・シー・リム |
出身地 | フィリピン |
育ち | カリフォルニア |
両親の出身 | 中国系 |
活動地域 | アメリカ、サンフランシスコ |
生年月日 | 1979年6月19日 |
TIE(タイ)は、中国系の両親を持つ、フィリピン生まれ。幼少期に、家族とカリフォルニアに移住しカリフォルニアで育つ。
TIEのグラフィティに対する熱量
TIEはグラフィティへの情熱を最優先に生きるライターでした。寒い夜や雨の日でも、一人で街へ出かけ、サンフランシスコのあらゆる場所にその痕跡を残したのです。食事やデート、ファッションにも無関心で、とにかくペンキやスプレーなどを手に入れて街に出ていく、そんなライターだったそうです。
彼のグラフィティは、どのブロックを歩いても必ず目にするほどで、タグやスローアップだけでなくブロックバスタなどの巨大なグラフィティまで見ることができました。
彼が書く量は驚異的で「他のライターが10人がかりでやっと到達する規模を一人で成し遂げていた」と言われています。また「TIEのグラフィティを見ることなくサンフランシスコを歩くこおとは不可能」とも言われていました。
TIEのグラフィティはサンフランシスコの都市風景の一部として定着していました。
他のライターたちが語るTIEの人柄
TIEは、仲間に愛されるグラフィティライターでした。
彼はその圧倒的な存在感だけでなく、気前の良さでも知られています。他のライターたちにスプレー缶やマーカーをプレゼントすることがよくあったそうです。(購入したものかどうかは不明)
アートに関心があり、バリーマッギーやMQなど数多くのアーティストに影響を受けたと言われています。
TIEとMQの関係性
18歳のTIEはMQの弟子として指導を受けながら活動の幅を広げていました。
また、TIEは様々なクルーとも関わりを持ち、多くの仲間たちと協力して活動していました。彼の存在は、仲間たちにとって刺激を考える存在であり、グラフィティシーンの中心的な人物として尊敬されていました。
TIEの悲劇的な死
1997年、TIEはその活動中に命を落としました。
ある夜、TIEはサンフランシスコのテンダーロイン地区で建物の屋上にグラフィティを残す計画を立てていました。
屋上に向かっていた彼は、雨樋を登る際に建物内の住人に気付かれます。『何してんだよ!?』と叫ばれたTIEはバッグの中身を見せながら『ごめん、泥棒じゃない、グラフィティしてただけなんだ』と説明。それでも住人の男は銃を取り出してTIEに向けた。TIEは手を上げて『待って、撃たないで!』と言った。そして怖くなって階段を駆け下りた。しかし、その男は後ろからTIEを狙って発砲。頭に当たりTIEは命を奪われてしまった。
※TIEが「待って」という声を出していたことについては、建物の駐車場にいた女性が証言しているそうです。
この事件は正当防衛として処理され、犯人は起訴されませんでした。新聞でも住人が”強盗を撃退した”として賞賛される内容が報じられました。しかし、TIEの背景や彼が書いていたグラフィティについてはほとんど触れられませんでした。移民の家庭出身で少数派であったこと、そして違法とされるグラフィティに従事していたことが、彼の死が適切に扱われなかった理由の一つと考えられています。
サンフランシスコのグラフィティシーンに焦点を当てたドキュメンタリー映画「PIECE by PIECE」でもTIEについて触れられています。
TIEが残したもの
TIEの死は、多くの仲間やストリートアート界に衝撃を与えました。彼の名はグラフィティ界の殉教者として語り継がれています。もし彼がもっと適切なサポートを受けられる環境にいたならば、彼がどれほどの影響を与えたのか想像することは容易ではありません。
TIEはその短い生涯をグラフィティに捧げ、その情熱と行動力で多くの人々にインスピレーションを与えました。彼の名前と作品は、今後もストリートアートの歴史に刻まれ続けることでしょう。
彼の生涯は短くも鮮烈で、ストリートアートの持つ力と危険性を象徴するものと言えるでしょう。彼の情熱、仲間との絆、そして悲劇的な結末を通じて、ストリートアートが持つ魅力と現実を感じていただければ幸いです。
TIEについて、触れられているグラフィティのドキュメンタリー映画
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最後に
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