グラフィティアーティストの中でもステッカーで有名になったBNE
彼は様々な場所でステッカーやタグを残しました。そして、その活動はアートだけでなく、慈善事業にもつながっています。
この記事では、BNEステッカーの特徴や有名になった理由を解説していきます。
BNEとは?謎のアーティストの正体と目的
BNEとは、アメリカを拠点に活動するグラフィティアーティストの名前です。
彼は1990年代後半から活動を開始し、世界中の都市に「BNE」と書かれたステッカーやグラフィティを残しています。このアーティストは長い間正体不明であり、その存在自体が都市伝説のようになっていました。
しかし、2009年にニューヨーク・タイムズにより、初めてBNEを名乗る人物がインタビューを受け、その存在が公に知られるようになりました。BNEの目的は、単なる自己表現ではなく、社会的なメッセージを伝えることにありました。
BNEが活動し始めたのはいつから?BNEステッカーの始まり
BNEのステッカーは1990年代後半、アメリカの都市部で初めて見られるようになりました。
そのシンプルさとステッカーの量が人々の目を引き、注目を集めるようになっていきます。
ステッカーを公共物や街の壁に貼ることで、BNEは自身の存在を広めていきました。
その目的は商業的なものではなく、自分のメッセージを広めるためでした。
BNEの活動
BNEは2011年に、水問題に苦しむ地域への支援活動を行う「BNE Water Foundation」という財団を設立しました。
BNEの慈善活動
2011年から世界でも知られる人物になったBNEは、貧しい国の人々へきれいな水を供給することを目的としたNPO団体(BNE Water Foundation)とWEBサイトを立ち上げました。
サイトでは、BNEの印が入ったスケートボードなどオリジナルグッズが販売されており、そこで得た収益を寄付したそうです。
BNEがBNE Water Foundationを立ち上げた理由
BNEは世界各地を旅し、汚染された水のせいで日々約4500もの人々が亡くなっているという状況を目にしてきました。
そこで、自身の知名度を利用して貧困の中にいる人々に、清潔できれいな水と衛生設備へアクセスできる環境づくりをしたいと思い慈善事業を立ち上げたそうです。
BNEのステッカーが話題になった5つの理由
- 量が多い
- シンプル
- ミステリアス
- 慈善事業を始めた
- 懸賞金がかけられた
量が多い
日本でも海外でも多く見られました。
特にグラフィティ文化やストリートアートに興味を持つ人々の間で話題になっていました。
シンプル
書体がシンプルなのでグラフィティ文化やストリートアートに興味を持つ人以外の興味も引きつけました。
ミステリアス
「BNE」の3文字が何を意味するのか、誰がこれを貼っているのかがわからないことが、見る者の興味を引きつけました。
正体がわからないからこそ様々な予想がされ話題になりました。
慈善事業を始めた
BNEはニューヨークタイムズの取材の後、慈善事業をスタートさせたことでより注目を集めました。
懸賞金がかけられた
多くの国や都市では、公共物に無許可でステッカーを貼ることは違法とされており、罰金や刑罰の対象となることがあります。
2006年には、サンフランシスコ市長がBNEステッカーの貼り付け行為を取り締まるため、犯人逮捕に2,500ドル(約20万円)の懸賞金をかけ、アメリカ国内でも大きな話題となりました。
懸賞金をかけられたことで余計に注目を集め彼の名前は多くの人に届くことになりました。
BNEの特徴|グラフィティの中で最も合理的なスタイル
白地に黒文字のゴシック体が特徴のBNEステッカーやBNEのタグ。
とにかくシンプルに認識しやすい書体と大きさで作られていました。
BNEのステッカーはなぜシンプルに作られているのか
自分のアーティスト名を多くの人に見せることや目立つこと、多くボムすることが評価につながるグラフィティの世界でBNEのスタイルは最も合理的です。
複雑な文字のアーティストに比べて認識しやすいので同じ数が貼られていたとしてもBNEのステッカーの方が多く感じることでしょう。
BNE以外のグラフィティライターがシンプルな書体にしない理由
BNE以外のアーティストでもシンプルな書体にしている人は多くいます。
ですが多くのアーティストが複雑で独自のスタイルを使ったステッカーやタグを書きます。
その理由はいくつかあります。
- 捕まりたくないから
- 一般人に認められたいわけじゃないから
- 真似されないため
捕まりたくないから
シンプルに作っていると警察にも認識しやすくなります。そうなれば逮捕のリスクは上がります。
一般人に認められたいわけじゃないから
グラフィティをやる人たち(グラフィティーライター)は基本的に一般人の評価は気にしていません。グラフィティライターのコミュニティ内で話題になることや注目されることを望んでいるので一般人には読めない書体のオリジナルな書体を使う人が多いです。
コミュニティ内ではオリジナリティの高い書体が評価される傾向もあります。
真似されないため
シンプルな書体だと偽物が出てきてしまう可能性が高くなります。
実際にBNEは偽物が出てきています。今BNEのステッカーをネットで販売しているのも偽物です。
BNEステッカーはどこで見れる?
BNEステッカーは世界中の都市で確認されています。アメリカをはじめ、日本、ヨーロッパ、アジアなど、様々な都市でBNEのステッカーやタグが見つかっています。
ステッカーは電柱や壁、電話ボックスなど、どこにでも貼られています。
- 東京
- ニューヨーク
- サンフランシスコ
- プラハ
- バンコク
- 香港
- マドリード
- クアラルンプール
※現在BNEは活動していないので今後、ステッカーは減っていく一方になります。
BNEステッカーの法的問題
BNEステッカーが街中に貼られることについて、法的な問題も少なからず存在します。多くの国や都市では、公共物に無許可でステッカーを貼ることは違法とされており、罰金や刑罰の対象となることがあります。特にサンフランシスコ市では、公共物に貼られたBNEステッカーに対して、市長が犯人逮捕のために懸賞金をかけるほど問題視されました。2006年には、市長がBNEステッカーの貼り付け行為を取り締まるため、犯人逮捕に2,500ドル(約20万円)の懸賞金をかけ、アメリカ国内でも大きな話題となりました。
BNE以外に慈善事業を行なったり寄付をしているアーティストはいる?
慈善事業を行なったり寄付をしているストリートアーティストは数多くいます。
以下は一例です。
- Banksy
- Shepard Fairey
- JR
1. Banksy
おそらく最も有名な例が、イギリスの匿名アーティストBanksyです。彼は作品を使って社会問題や政治的メッセージを伝えており、アートの収益を慈善団体に寄付しています。たとえば、彼の作品の一つである「Game Changer」は、パンデミック中にイギリスのNHS(国民保健サービス)を支援するためにオークションに出品され、約2,000万ドルが寄付されました。また、難民支援のための船「Louise Michel」を購入し、地中海で難民の救助活動を行っています。
2. Shepard Fairey (Obey)
アメリカのストリートアーティストであるShepard Faireyも、慈善活動に積極的に取り組んでいます。彼は「Obey Giant」キャンペーンで広く知られるようになりましたが、作品の販売から得た収益を通じて複数の慈善団体に寄付を行っています。特に、人権、環境保護、平等をテーマにした団体に対する支援を続けています。また、彼は大規模な公共プロジェクトにも関わっており、コミュニティーのための活動を行っています。
>>Shepard Faireyが有名になったきっかけや代表作
3. JR
フランスのフォトグラファー兼ストリートアーティストJRも、社会問題に取り組む活動で知られています。彼のプロジェクト「Inside Out」は、世界中の人々の顔写真を巨大ポスターにして公共空間に展示することで、地域社会やコミュニティの声を可視化するというもので、様々な社会運動をサポートしています。また、JRは作品の収益を使って、貧困地域の支援や人権問題に取り組む活動に寄付を行っています。
BNEに対する反応
調べてみると今でもBNEのステッカーについての投稿は頻繁にありました。
蓮舫のRステッカーの件でBNE参上ステッカーを思い出した
— ふぇい (@f4ke1t) July 10, 2024
流石に今はもう新たに貼られて無いかな? pic.twitter.com/ibAscNvdqG
BNE参上という謎のステッカーがかなり有名だったらしいよ https://t.co/LUNdSGNF0B
— Re:version (@re_version) February 5, 2023
ベルギーの街歩き映像観てたら、「BNE」ステッカー貼ってあって「東京でよく観るシール!!!」と興奮してた。世界中にあるものなんだなぁ。。。
— 赤沼俊幸 (@toshiyuki83) May 8, 2020
(調べたらアメリカのアーティスト作なのか)https://t.co/34jBX2yZu6
あつ森、マイデザインで BNE ステッカーを作ってみたよ pic.twitter.com/IG1C5sVhbN
— メモ (@tily) July 7, 2022
「BNEすごいなー。みんな目にしたことがあるはずだし、計画的にボムしてたとしても、そうじゃないにしても、世界中のBNEステッカーが広告塔かぁー。リスペクト。」
https://x.com/BUSTABASH/status/207385279407984641 2012年
「BNEステッカーの存在感は強い」
https://x.com/junkMA/status/1125957512 2009年
反対意見
「BNEステッカーはじめ公共物にステッカー貼るダサい文化の人々、どうせつけるなら3Gのアンテナにしてくれ」
https://x.com/Asage/status/172162754008977410
BNEはステッカーで有名になった数少ないグラフィティアーティスト
現在BNEのサイトはなくなっており、活動もしていないようです。
それでも過去に貼られたステッカーは、現在でも東京や海外で確認されています。時々ストリートアート愛好家やファンの間で話題になることもあります。現在でも過去の活動が残したインパクトが続いている状況です。
BNEはステッカーを軸にした活動でグラフィティの歴史に名を刻んだ数少ないグラフィティーアーティストです。
▼その他ステッカーで有名なアーティスト
>>Shepard Faireyとは?OBEYの創設者について解説
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