フランス出身のストリートアーティストZEVS
彼は大手企業の広告にペイントを加えたり、モデルを切り抜いて誘拐する大胆な手法で世界的に注目を集めた。
この記事では、ZEVSのプロフィールからストリートアートの手法、そして彼が有名になった時期や香港での逮捕について紹介します。
「ZEVS(ゼウス)」のプロフィール
アーティスト名 | ZEVS(ゼウス) |
出身 | フランス |
生年月日 | 1997年生まれ |
SNSアカウント | https://www.instagram.com/z__e__v__s/ |
Webサイト | https://overtheinfluence.com/exhibitions/temporary-sanctuary/ |
ショップリンク | https://www.dna.gallery/zevs |
ストリートアーティストZEVSの読み方は?
ZEVSは「ゼウス」と読みます。
ZEVSの名前の由来
「ゼウス」の名は、地方列車のゼウスが由来です。彼は1991年のある日、地方列車に轢かれてしまいそうになりました。
その列車の名前が「ゼウス」だったそうです。
ZEVSのストリートアートの手法
ZEVSは様々な手法を使い表現活動をおこなってきました。
同じ手法に拘らず新しい手法やスタイルを探究しながら活動しています。
- リバースグラフィティ
- ビジュアル・キッドナッピング
- ビジュアルアタック
- リキッド・ロゴ
リバースグラフィティ
リバースグラフィティーは、壁や地面の汚れを高圧洗浄機などを使い、部分的に清掃して、そのきれいになった部分で絵や文字を浮かび上がらせる手法です。つまり、汚れを利用して、アート作品やメッセージを表現する独特な方法です。
1990年代後半まで、ZEVSはパリの街で作品を書いていました。しかし、パリ市長はZEVSのすべてのストリートアートを消すことを決定しました。
そこでZEVSはリバースグラフィティーに目を向けました。
ビジュアル・キッドナッピング
ZEVSの「ビジュアル・キッドナッピング(Visual Kidnapping)」は、広告の一部を切り取り持ち去り、企業に対して「身代金」を要求するというアートパフォーマンスです。
彼は2002年、ベルリンで掲示されていた巨大なポスターのモデルの部分を切り取り、その上に「VISUAL KIDNAPPING – PAY NOW!」(ビジュアル誘拐-今すぐ支払え!)と書き込みました。
この手法は、広告が公共空間で無意識に消費者の注意を「誘拐」しているというアイデアに基づいています。ZEVSはその状況を逆転させ、広告自体を物理的に取り除き、「身代金」として企業から50万ユーロ(約5,500万円以上)を要求しました。このパフォーマンスは、消費社会や企業広告の支配力に対する風刺的な批判と捉えることができます。
彼のこの行動は、広告がどれほど強力なメディアであり、消費者の目を引き付けるために設置されているかを再認識させました。
ZEVSが行ったビジュアル・キッドナッピングの身代金は払われた?
ZEVSが要求した50万ユーロ(約5,500万円以上)の身代金は最終的に払われました。
ZEVSは切り取った広告(人質)を個展で公開し、展示のパフォーマンスとしてその処刑をめぐって投票も行いました。
身代金は広告を出していた企業(ラバッツァ社)から美術館に寄付されたようです。
身代金は挑発のために設定されたものだったので、ZEVSは身代金が目的ではありませんでした。
ラバッツァ社は、結果として大きな宣伝となったこともあり、ZEVSのジョークに答える選択をしました。
ビジュアルアタック
ZEVSの「ビジュアルアタック」は、広告やブランドのイメージを破壊する手法です。彼は広告の一部を加工し、ブランドが消費者に与える視覚的な影響を逆転させます。
例えば、広告のモデルが撃たれたように見えるペイントを施すことで、広告のメッセージを崩壊させ、消費社会への批判を表現します。
この手法は、ブランドが持つ支配的な力を視覚的に解体し、広告のもつ意味を問い直すものです。短く言えば、広告を「攻撃」することで、その商業的な力を弱めるアートです。
リキッド・ロゴ
引用元:https://www.dna.gallery/prints/coca-cola-zevs
彼が創り出した「リキッド・ロゴ(Liquidated Logos)」は、世界中のブランドロゴをドリップさせたようなデザインです。
リキッド・ロゴは消費社会や資本主義への痛烈な批判を表しています。
ZEVSは、「ロゴ」が持つシンボルの強さ、見るものを惹きつける視覚的な力に強く関心を抱いていたようです。
リキッド・ロゴが生まれたきっかけ
「リキッド・ロゴ」は、2000年代初頭にZEVSが発表した代表的なシリーズです。グローバルブランドのアイコンを意図的に変形させることで、そのブランドの最先端にある経済的、社会的な影響力を問いかけています。
世界中の広告に対する批判的な視点から生まれたこの手法は、ストリートアート界においても環境問題に取り組むことを呼びかけました。
ZEVSが有名になったのはいつ?
ZEVSが多くの人に注目されたのは2000年代初頭です。
「ビジュアル・キッドナッピング」、「ビジュアルアタック」など大胆な活動で話題になります。
彼のストリートアートは消費主義やブランド至上主義に対する批判として大きな話題を呼びました。
さらに彼を有名にした事件があります。
ZEVSがアルマーニの店舗に落書きして逮捕
ZEVSは2009年7月、香港のアルマーニの店舗にシャネルのロゴを落書きして逮捕されました。
消費主義やブランド至上主義への批判というメッセージが込められた活動でした。
この件でZEVSはアルマーニから修復費用670万香港ドル(当時のレートで約8,000万円)を請求され注目が集まりました。
アルマーニは落書きに気づきすぐに業者を呼びましたがZEVSが使った塗料を落とすことができなかったため、外壁を交換するための費用と迷惑料して請求したようです。
アルマーニはパフォーマンスの時は洗い流せる塗料でやって欲しいと語ったそうです。
ZEVSのストリートアートは日本で見れる?
ZEVSのストリートアートは、日本で見ることができません。
過去に東京で展示を行ったことがありますが、展示会場となったギャラリーは現在閉館しています。
日本のギャラリーなどで作品を見るチャンスも少ないです。
ZEVSの過去の展示
ZEVS は、世界中の展示会やパフォーマンスに参加しております。
- デンマーク「ニイ・カールスベルグ・グリプトテク美術館」(2008年)
- 香港 ART STEATEMENTS(2009年7月)
- モスクワ・ビエンナーレ(2010年)
- ニューヨーク「リクイデーテッド・バージョン」(2011年)
- 東京 「Renaissance」(2011年9月)
- 香港「SUPREME MEME」(2018年)
など
ZEVSとルイ・ヴィトン
ZEVSはルイ・ヴィトン作品を展示する度にルイ・ヴィトンの法務部から展示の中止を求められています。
もちろん彼はこの要求に応じていません。
「今ヴィトンは財団を作って、アーティストたちを育てる活動を行っています。シャネルなど他のブランドは、ロゴについて自由に使える部分があるにもかかわらず、ヴィトンは自分たちのロゴのイメージを徹底的に守るために自由に自分たちのロゴをアーティストたちに開放していない。これは非常に大きな矛盾ではないか。」というのがZEVSの主張です。
ZEVSはルイ・ヴィトンに限らずブランドをリスペクトしているわけではなく、ロゴの形を崩し、ブランドの象徴性を消すことで、商業主義に対する批評を行っています。
ZEVSが出演した映画
- イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ(2011年)
- インサイド/アウトサイド (2005年)
「インサイド/アウトサイド」はZEVSの「ヴィジュアルアタック」や「ビジュアル・キッドナッピング」など実際の映像を見ることができます。
ZEVSの出演時間も長いのでZEVSについてもっと知りたいという人は「インサイド/アウトサイド」がオススメです。
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「イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ」はバンクシーが作った映画です。こちらもドキュメンタリー映画ですが、ZEVSの出演シーンは短めです。
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ZEVSが掲載された日本の雑誌
ZEVSは日本のフリーマガジン「HIDDEN CHAMPION」に掲載され表紙を飾っています。
2018年に発刊されたものなので現在、新品は手に入りません。
▼ZEVSが表紙のフリーマガジンはこちら
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ZEVSのインタビュー一覧
ZEVSのインタビューは、さまざまなメディアで公開されています。以下にその一部を紹介します。
インタビュー動画
- 香港で逮捕される前のアーティストZEVS
- ARTNET アーティストインタビュー
↑ZEVSの顔出しインタビュー
インタビュー記事
2011年 ART STATEMENTS TOKYO
http://www.webdice.jp/dice/detail/3197/
ARTNET アーティストインタビュー
(https://www.debuckgallery.com/artnet-artist-interview-zevs/)
最後に
ZEVSは、ブランドロゴや広告をキャンバスに独特な手法で、ストリートアートの世界に革命をもたらしました。
その作品は、視覚的なインパクトだけでなく、現代社会に対する鋭い洞察を伴っておりメッセージが込められています。
今後もZEVSの活動には注目しておきましょう。
日本での展示は滅多にないので開催される際は少し遠くても足を運ぶことをお勧めします。
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