マーガレット・キルガレンは、グラフィティやフォークアートの要素を取り入れ、温かみのある独特の色彩と筆遣いで知られるアーティストです。特に力強く生きる女性をモチーフにした作品が魅力的です。
アート界でも独自のポジションを築き、多くのアーティストに影響を与えました。しかし、若いうちに亡くなってしまったため、作品数が少なく彼女の作品を見る機会は、非常に限られています。
この記事では、マーガレット・キルガレンの生涯やアートの特徴、彼女が残した影響について紹介します。
マーガレット・キルガレンのプロフィール
https://art21.org/read/margaret-kilgallen-influences-train-marking-and-graffiti
マーガレット・キルガレンは、1967年10月28日、アメリカ合衆国・ワシントンD.C.で生まれました。メリーランド州ケンジントンという小さな町で育ったマーガレットは、キルトやバンジョーの演奏といった民俗伝統に触れ、自身もバンジョーの達人になるほどのめりこみました。
コロラド大学でスタジオアートと版画の学士号を取得した後、サンフランシスコに移り住みました。
| アーティスト名 | Margaret Kilgallen（マーガレット・キルガレン） |
| 出身地 | アメリカ ワシントン D.C. |
| 活動地域 | ワシントン D.C.やサンフランシスコなど |
| 生年月日 | 1967年10月28日 |
| SNSアカウント | – |
| webサイト | – |
マーガレット・キルガレンの別名
マーガレット・キルガレンの別名（タギングネーム）は「Meta」もしくは「Matokie Slaughter」です。彼女はこの別名をアート活動で使用し、作品にも取り入れていました。「Meta」は、彼女の作品の中にも頻繁に登場します。
マーガレット・キルガレンの死因
マーガレット・キルガレンは、死因は乳がんで2001年6月26日に亡くなりました。
マーガレット・キルガレンは何歳で亡くなった？
33歳という若さで亡くなりました。
亡くなる数週間前に娘を出産したばかりでした。マーガレット・キルガレンは、闘病しながらも創作活動を続けていました。
バンジョーとは？
バンジョーは、アフリカのいくつかの楽器の特徴を取り入れてアフリカ系アメリカ人が生み出した撥弦楽器です。
「カントリー音楽」や「ブルーグラス」といったアメリカの音楽によく使われる楽器として知られています。
マーガレット・キルガレンのアートの特徴
マーガレット・キルガレンのアートは、手作業の温かみが感じられる素朴なスタイルが特徴です。特に、手書きのタイポグラフィやフォークアートの要素を取り入れた作風は、他のグラフィティ・アーティストにも影響を与えました。
手描きへのこだわりとフォークアート的表現
マーガレット・キルガレンの作品は、完全に手作業で制作されることが大きな特徴です。
彼女はステンシルやプロジェクターを使わず、フリーハンドで描くことにこだわりました。作品の中には、タイポグラフィの要素や古い広告のデザインを思わせる手描き文字が多く使われ、温かみと人間らしさが残る独自のスタイルを確立しています。また、廃材や中古の木材をキャンバスとして使うなど、フォークアートの精神も色濃く反映されています。
ストリートアートと公共空間への批評性
マーガレット・キルガレンは、グラフィティと広告の違いに疑問を投げかけ、都市空間のあり方を批評しました。
街中の巨大広告は受け入れられるのに、個人が描くストリートアートは排除される。この矛盾に彼女は強い関心を持ち、「公共の場はみんなのものであり、市井の人々が表現する権利がある」と考えました。
実際に、貨車（貨物を運送するための鉄道車両）に「Matokie Slaughter」というタグを描くなど、街に自らの痕跡を残しながら、日常の風景にアートを溶け込ませる試みを続けました。
「Matokie Slaughter」とは
「Matokie Slaughter」はアメリカの伝統的なバンジョー奏者の名前です。キルガレンはこの無名ながらも力強く生きた女性アーティストに敬意を表し、自身のタグとして使用していました。この名前をストリートに刻むことで、彼女は歴史の中で見過ごされがちな女性の存在を浮かび上がらせると同時に、自らのアートと社会的なメッセージを結びつけていたのです。
強くて自立した女性をモチーフにした作品
https://www.famsf.org/artworks/sloe
彼女は強くて自立した女性をモチーフにした作品を多く描いていました。
「Sloe」という作品では、強く自立した女性たちをメインに歩く姿、サーフィンをする姿、スケボーに乗る姿、自転車に乗る姿が描かれています。
マーガレット・キルガレンは、「私は自分が刺激を受ける女性を描くのが好きです。誰もが知っている人を選ぶのは好きではありません。小さなことをするだけでも、私の心に響く人を選ぶのが好きです。」と語っています。
この発言から、女性の力を肯定的に捉え、それを表現したいという意欲や女性が持つ多様な可能性や力を、アートを通して伝えようとしていることがわかります。
マーガレット・キルガレンとバリー・マッギーは元夫婦
https://popeyemagazine.jp/post-206481
写真に写っているのは、バリー・マッギーと娘のアーシャ・マッギー
マーガレット・キルガレンとバリー・マッギーは、共に活動したアーティストであり、夫婦関係にありました。
2人はよくコラボレーションを行い、ストリートアートやフォークアートの要素を取り入れた作品を作りました。
マーガレット・キルガレンとバリー・マッギーの出会い
マーガレット・キルガレンとバリー・マッギーは、1990年代初頭、バークレーで開催されたピクニックで出会いました。
バリーは、以前から画材店で働いているマーガレットのことを知っていたようです。
お互いに与え合った影響
マーガレット・キルガレンとバリー・マッギーは、何度も共同で作品を作りました。
今も二人の作品は、ストリートカルチャーやアートシーンに多大な影響を与え続けています。
またバリー・マッギーはインタビューで「彼女からはアーティストとしての熱意に関する影響を受けた。何かに興味を持ったものに対しての情熱というのは無限で、彼女自身のやり方でとことん突き進む女性だった。」と言っています。
マーガレットは、妊娠中でかつ乳がんの末期であった時期も、精力的に作品作りをしていました。
体力的にも精神的にも大変な状態にもかかわらず、アートにエネルギーを注ぐ姿は、バリーをはじめ、彼女のまわりにいる人々に勇気を与えたことでしょう。
バリー・マッギーは、マーガレットが亡くなってからも、彼女の作品を広める活動をしています。
マーガレット・キルガレンの活躍
マーガレット・キルガレンの展示や出演した映画について紹介していきます。
「In the Sweet Bye & Bye」展（2005年）
マーガレット・キルガレンの回顧展「In the Sweet Bye & Bye」は、約100点のペインティングやドローイングが展示されました。
また、彼女の作品集『MARGARET KILGALLEN : IN THE SWEET BYE & BYE』が出版されており、展覧会に足を運べなかった人々も彼女の作品を楽しむことができます。
現在Margaret Kilgallen: In the Sweet Bye and Byeは価値が高まり、高額で取引されています。
展覧会を行ったことで、マーガレット・キルガレンの作品を再評価し、多くの人々に彼女のアートの魅力を伝える機会になりました。
「THAT’S WHERE THE BEAUTY IS」展（2019年）
https://www.apollo-magazine.com/art-diary/margaret-kilgallen-thats-where-the-beauty-is
2019年には、マーガレット・キルガレンの展覧会「THAT’S WHERE THE BEAUTY IS」がコロラド州のアスペン・アート・ミュージアムで開催されました。
アスペン・アート・ミュージアムは、現代美術を専門とする美術館で、国際的なアーティストの展示を数多く手がけています。
この展覧会では、彼女の代表作だけでなく、これまで未公開だった作品も展示され、彼女のアートに込められた独自のスタイルが改めて評価されました。
また、展覧会に合わせて出版された作品集『MARGARET KILGALLEN: THAT’S WHERE THE BEAUTY IS』も話題となりました。
現在は、品切れ中となっています。
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>>THAT’S WHERE THE BEAUTY IS
ドキュメンタリー映画「ビューティフル・ルーザーズ」への出演（2008年）
ドキュメンタリー映画『ビューティフル・ルーザーズ』（2008年）は、1990年代のストリートカルチャーやアートシーンを牽引したアーティストたちに焦点を当てた作品です。
マーガレット・キルガレンもメンバーの一人として取り上げられています。
この映画は、アーティストたちの創造性や情熱、影響力を伝える貴重なドキュメンタリーとして、人々に知られています。
映画「ビューティフル・ルーザーズ」のDVDは再販がありませんでした。現在は、フリマサイトなどで高額で取引されています。
この映画は、アートの本質を伝える貴重なドキュメンタリーとして、多くの人に影響を与えました。
実際に映画を見た人々からは、以下のような感想が寄せられています。
・「アートの本質を観た気がします。」
・「いつも迷ったら立ち帰りたい、ぼくのバイブル的映画。」
マーガレットキルガレンのメディアでの露出
マーガレット・キルガレンとバリー・マッギーが実際に貨物列車にボムしている映像
まとめ
マーガレット・キルガレンの作品は、彼女の没後20年以上が経った今でも、多くの人々に愛され続けています。
個展などのチャンスに出会えたら、温かみと心を揺さぶるマーガレットのアートを見に行くことをオススメします。
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