一見すると写真と見間違えるほどの壁画が。しかも、それがスプレー缶だけで描かれていると聞けば、誰もが驚くはずです。
そんな作品を手がけるのが、オーストラリア出身のストリートアーティスト「Smug(スマッグ)」。
現在はスコットランド・グラスゴーを拠点に、世界中で写真のように綺麗な壁画を残しています。
・Smugのプロフィール
・どのように有名になったか
・Smugの代表的な作品
・Smugのミューラルアートが見られる街
・Smugファンにとって悲しい現実
ぜひ最後まで読んでみてください。
写真と見間違う、驚異のスプレー技術
Smug氏の作風は「フォトリアリズム」と呼ばれるもので、光の陰影や肌の質感まで緻密に再現されており、まるで実物の写真のように見えます。
特筆すべきは、これらがすべてスプレー缶のみで描かれている点です。構図や演出も巧みで、写真以上に印象的なアートへと昇華されます。
ストリートアーティスト「Smug」のプロフィール
アーティスト名 | Smug(スマッグ) |
出身地 | オーストラリア ニューサウスウェールズ州の小都市 |
活動地域 | オーストラリアを拠点に世界的に活動 |
生年月日 | 1982年 |
SNSアカウント | https://www.instagram.com/smugone/ |
Instagramフォロワー数 | 23.5万人(2025年7月時点) |
webサイト | https://smuglife.bigcartel.com |
Smugが描く人物のモデルは誰?
Smugが描く人物は、有名人ではありません。祖父母や清掃員、子どもを抱く母親など、日常に生きる人々がモデルです。
彼の作品は華やかさよりも温かさ、日常の尊さを描くことで、街に溶け込みながらも人々の記憶に残ります。
Smugが有名になったきっかけ
Smug(スマッグ)が一気に有名になった「決定的な一作」があるわけではありません。しかし、スプレー缶だけで描かれた写実的な壁画の完成度が話題を呼び、世界中でじわじわと注目を集めるようになりました。
オーストラリア出身の彼は、10代後半にグラフィティを始め、徐々にキャラクター表現や写実的な作風に移行していきます。特に転機となったのが、スコットランド・グラスゴーへの移住後。街の再開発プロジェクト「City Centre Mural Trail」の一環で描かれたフォトリアルな壁画が、地元住民や観光客の目に留まり、SNSやアートメディアを通じて広く拡散されました。
なかでも、グラスゴーの守護聖人セント・マンゴーを現代風に描いた作品や、地域住民をモチーフにした温かみのある肖像画が注目され、街に自然に溶け込みながらも強い存在感を放っています。
このようにして、Smugの名はストリートアートの世界で徐々に浸透し、現在では世界各地の壁に作品を残す存在へと成長しました。
ストリートアーティストSmugの代表的な作品
Smugの代表作をいくつか紹介します。
セント・マンゴー(グラスゴー)
グラスゴーの中心地に描かれたこの壁画は、街の守護聖人セント・マンゴーをモチーフにしています。ただし、伝統的な宗教画ではなく、現代の若者のような姿で再解釈されているのが特徴です。フード付きのパーカーを着た男性が小鳥を手に乗せているこの作品は、地域の歴史と現代の市民生活をつなぐ象徴的な存在として知られています。
授乳する母親(インバークライド)
スコットランド西部の街・インバークライドに描かれたこの壁画は、授乳中の母親を主題にしています。公共保健プロジェクトの一環として制作されました。リアルな表現でありながらも、優しさと尊厳を感じさせる作品です。
The Resident(リン/アメリカ・マサチューセッツ州)
アメリカ・マサチューセッツ州のリン市に描かれた作品「The Resident」は、肩にスニーカーをかけた青年の肖像です。生活感と力強さが同居した表情やポーズからは、地域に生きる人々のリアルな姿が感じられます。この作品は、Beyond Wallsプロジェクトの一環として制作されました。
その他の作品
Smugはオーストラリア・フランクストンやメルボルンなど、出身国でも多くの作品を手がけています。どの作品も、地域の文化や住民の生活に寄り添いながら、壁画を通してその街の“空気”を視覚化するような役割を果たしています。
アート市場でも評価が高まるSmugの作品
Smugの壁画は街角で見る人を魅了する一方で、アート市場でも着実に評価を高めています。これまでに彼の作品は何度もオークションに出品されており、サイズや媒体によって1,000ドル台から4,000ドル超の価格で取引されてきました。
特に注目されたのが、2020年にメルボルンのレオナルド・ジョエルで販売された「Teneu and Kentigern」(上記の投稿)。この作品は4,029米ドルという価格で落札され、現在のところSmugのオークションにおける最高額となっています。
こうした実績は、ストリートアートという枠を超えた彼の作品が、コレクターやギャラリーの間でも本格的に価値あるものとして認識され始めていることを示しています。
Smugのミューラルアートが見られる街
ここでは、彼のミューラルアートを実際に見ることができる主な都市をご紹介します。
メルボルンで楽しむSmugのミューラルアート
Smugの作品は世界各地に点在していますが、中でもオーストラリア・メルボルンは最も多くのミューラルアートが見られる街の一つです。実際、旧発電所がアート施設に転用された「Upper West Side Arts Precinct」では、Smugの代表作「祖父母の肖像」など複数の大作を常設で見ることができます 。
また、651 Lonsdale Streetに描かれたスプレーだけで再現された4階建分の巨大壁画も、彼の作風の圧巻ぶりを実感できる作品とされています 。加えて、2014年には地元アーティストのSoflesやAdnateとコラボした壁画も登場しています。このように、Smug単体だけでなく他有名アーティストと並んだ作品を楽しめるのがメルボルンの魅力です。
メルボルンでSmugの壁画を探すならこのエリア
- Upper West Side Arts Precinct:旧発電所跡にある巨大アート壁が圧巻。Smugの「祖父母」の肖像を始め、多彩な作品が揃っています。
- 651 Lonsdale Street(旧発電所角):Smugによる4階建サイズのフォトリアル壁画が存在感抜群 。
- Northland Shopping Centre(Preston):「Laser Possum!」ではSofles、Adnateらと合同制作された大作が展示中。
メルボルンはストリートアート文化が非常に根付いており、Sofles、Adnate、Roneなどオーストラリアを代表するアーティストの作品も至る所で見ることができます 。これらを一度に楽しめる街として、アート好きにはまさに理想的なスポットです。
グラスゴー(スコットランド)
Smugの活動拠点であり、代表作「セント・マンゴー」をはじめとする多数の壁画が市内に点在しています。「City Centre Mural Trail」と呼ばれる市公認の壁画ルートにも作品が含まれており、街歩きとアート鑑賞を同時に楽しめます。
リン市(マサチューセッツ州、アメリカ)
「The Resident」など、Beyond Wallsプロジェクトの一環として制作された作品が見られる街。アメリカ東海岸を旅するなら立ち寄りたいアートスポットのひとつです。
フランクストン(オーストラリア・ビクトリア州)
出身地オーストラリアでも複数の作品を手がけており、フランクストンには海辺の街並みに調和した大型ミューラルが描かれています。メルボルンからのアクセスも良く、アート巡りにぴったりのエリアです。
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Smugのミューラルアートを潰すイリーガルなグラフィティ
Smug氏のミューラルアートは時々、グラフィティで潰されることがあります。
ミューラルアートがグラフィティによって潰されるのは、Smug氏に限ったことではありませんが、非常に残念な事実です。
この投稿にファンからは、「なんて無礼なんだ」「なんだこれ、信じられない」などの怒りや悲しみのコメントが多数ありました。
Smug氏本人は、「メルボルンでの最初の壁。いつものように新進気鋭の選手たちとのコラボレーション…」と冗談混じりのツイートを投稿しています。
Smugインタビュー動画一覧
Smug氏のインタビュー動画です。
インタビュー動画は、全て海外の動画ですが、翻訳機能を使えば無料で簡単に日本語で内容を知ることができます。
街角で出会える、物語を語る壁画
Smugの壁画には、ただのテクニックではない、人や社会への想いが込められています。
街角でふと足を止めたとき、Smugの作品はそっと語りかけてくるような優しさを持っています。
グラスゴーを訪れる機会があれば、ぜひSmugの壁画を探してみてください。観光ガイドには載っていない、街の日常に寄り添うアートに出会えるかもしれません。
そしてその瞬間、あなた自身の何気ない日常にも、Smugが描くような美しい一コマがあることに気づけるはずです。
当サイトでは世界のストリートアーティストやグラフィティアーティストを紹介しています。
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