「ステンシル・グラフィティの父」と呼ばれるブレック・ル・ラット。
彼の作品は、バンクシーをはじめ多くのアーティストに影響を与えてきました。
本記事では、その生涯や代表作、社会へのメッセージ性までをわかりやすく紹介します。アートに興味がある方は、ぜひ最後までご覧ください。
ブレック・ル・ラットとは?
ブレック・ル・ラット(Blek le Rat、本名:ザビエル・プルー/Xavier Prou)は、フランスが誇る世界的なストリートアーティストで、「ステンシル・グラフィティの父」として広く知られています。
ブレック・ル・ラットのプロフィールと基本情報
アーティスト名 | ブレック・ル・ラット(Blek le Rat) |
本名 | ザビエル・プルー(Xavier Prou) |
出身地 | パリ郊外西部のブローニュ=ビヤンクール |
活動地域 | フランス・パリを中心にニューヨークなどアメリカでも展示を行っている |
教育 | パリ建築学校、パリ美術学校で学ぶ |
生年月日 | 1951年11月15日 |
SNSアカウント | https://www.instagram.com/blekleratoriginal/ |
webサイト | https://blekleratoriginal.com |
名前の由来と初期の影響
「ブレック・ル・ラット」という名前は、フランスのマンガ『ブレック・ル・ロック(Blek le Roc)』に由来しています。「ロック(roc)」の部分を「art」のアナグラムである「rat(ネズミ)」に変えて使用したのです。
1971年にニューヨークを訪れた際、初期のグラフィティシーンに強い衝撃を受けました。しかし、パリとニューヨークでは建築様式が異なるため、パリに適した独自のグラフィティスタイルを開発する必要がありました。
芸術活動の開始とネズミのシンボル
1981年から本格的に芸術制作を開始し、パリの街中の壁にネズミのステンシル作品を描き始めました。彼にとってネズミは以下のような意味を持っていました:
- 「街で唯一の自由な動物」
- 「ストリート・アートのようにどこにでもペストのように増殖する存在」
彼のネズミは社会的に弱い立場にある庶民や、より大きく抑圧的なグループに反対する孤独な個人の象徴として描かれました。
フランスのストリートアート運動への貢献
1985年、フランスのボンディでグラフィティ集団「VLP」に参加しました。この集団には以下のような国内外の著名アーティストが参加していました:
- ジェフ・アエロソル
- フューチュラ2000
- ミス・チック
- SP38
VLPグループの形成と同時にフランスのストリート・アートの歴史が始まったとみなされており、ブレック・ル・ラットはその中心人物でした。
代表的な作品と技法の進化
現存する最古の作品は1991年に制作したカラヴァッジョの『ロレートの聖母』のレプリカで、将来の妻となるシビルに捧げた作品です。この作品は2012年にドイツのライプツィヒで再発見されました。
1991年に当局に逮捕された後、彼は制作方法を変更し、事前にステンシルを切った紙(ポスター)を使用する手法に移行しました。これにより制作時間を短縮し、逮捕のリスクを軽減できました。
バンクシーとの関係
ブレック・ル・ラットは現在世界的に有名なバンクシーに多大な影響を与えたことで知られています。
バンクシー自身も以下のようにコメントしています:
「私が何かわずかでもオリジナルなものを描いたと思うたびに、ブレック・ル・ラットが20年前に同じことをやっていたことがわかる」
2011年には、サンフランシスコのミッション地区でバンクシーが前年に始めた壁画にブレック・ル・ラットが加筆する様子が目撃され、両者の相互尊敬の関係が確認されました。
社会的メッセージと制作動機
ブレック・ル・ラットの主な制作動機は以下のようなものがあるとされています。
- 社会的意識の向上
- 人々に芸術をもたらしたいという要求
- より大きく抑圧的なグループに反対する孤独な個人の描写
2006年からはホームレスを題材にしたシリーズを開始し、歩道に立つ、座る、横たわる彼らの姿を描くことで、グローバルな問題への注意を喚起しています。
国際的な展開と現在
ブレック・ル・ラットは世界各地で展覧会を開催していますが、彼自身はギャラリーよりもストリートでの活動を好むと公言しています。「アーティストの真価は、できるだけ多くの人に見てもらうことにあり、美術館で売られたり認められたりすることではない」と述べています。
Blek le Ratとバンクシーの違い
Blek le Rat氏とBANKSYの違いについて紹介しようと思います。
Blek le RatとBANKSYのネズミの違い

BANKSYのネズミはヒゲが横に広がっているパターンが多いです。一方Blek le Ratのネズミはヒゲが短いか頬にそって生えている場合が多いです。Blek le Ratのネズミは、本物のネズミに近い形で描かれている印象です。BANKSYのネズミはアレンジが加わっていたり、キャラクターっぽい感じがします。
風刺要素や皮肉要素の強さ
Blek le Rat氏が元祖ですが、BANKSYの方が風刺要素や皮肉要素が強い作品になっています。
展示の回数
Blek le Rat氏は現在でも定期的に展示会を開催しています。BANKSYは展示の回数は極端に少ないです。
フォロワーの数
Blek le Rat氏が9.9万人に対してBANKSYが1,335万人で圧倒的に多いです。
最後に
ブレック・ル・ラットは現在のグラフィティ・アートやゲリラ・アート運動に影響を与え続けています。彼が1980年代初頭にパリで始めたステンシル技法と政治的メッセージを組み合わせた手法は、現在のストリートアート界の基礎を築いたとも言われています。
特に彼のネズミのモチーフは、バンクシーをはじめとする多くのアーティストに引き継がれ、ストリートアートの象徴的存在となっています。
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